chihiroxs’s blog

ちひろです。

白いしるし

この間まで読んでた本が終わり

次なに読もうかなぁで

西加奈子さんの白いしるしにした

何度も読み返している好きな本

 

しんどい

 

まじでしんどい

 

気持ちが拐われていく感覚

読みながらしかめっ面に

なってしまうくらいに

恋愛描写がぐさぐさと

 

もう重ねてしまったもので

過去にあった「恋だけで生きてた」

こともすっかりなくなり

激しい感情は引き出しの奥底へ

 

でもこの本を読むと

主人公の行き過ぎた恋の愛し方が

とてつもなく過去の感情を

掘り返しにきて

心より分かりやすく心臓が痛くなる

 

 

21歳の頃にこの上ない恋をした

数ヶ月という短い恋だった

 

その人が恋人になったとき

世界の色が変わった

待ち合わせをしているとき

歩いてる人が全て彼に見えて

心臓が跳ね上がった

 

わたしはその人と居たくて居たくて

一人暮らしのくせに仕事を辞めた

減ってくお金なんか気にならなくて

本気で1秒でも長く側にいたくて

 

当時はアルコール依存がひどく

カバンにはいつもブラックニッカの

小瓶が入っていた

 

ちひろはいつもお酒の甘い匂いがするね」

と、笑ってくれたことを

なんでかとても誇らしく思ってさえいた

 

深夜に中島みゆきを聴いて

号泣するわたしを優しく包んでくれた

 

当時は髪がとても長かったけど

バイクで迎えに来てくれる日は

髪を結ばないことだけで

爆発しそうなくらい満たされて

 

バンドをやっていた彼は

「えのぐ」という曲を作ってくれた

このCD今もわたし持ってるのかな

 

 

ヒットラーの本を熱心に読んでたら

真似してヒットラーの本買ってきて

安い居酒屋でああでもないこうでもない

って朝までしゃべり倒して

でも楽しいって笑いあった

 

よく晴れた冬の日

ミニストップでお昼を買って

公園のベンチで食べてたら

別れを告げられた

 

わたしは彼を手に入れてから

幸せなはずなのにいつも怖かった

笑う数も減っていった

居なくなることが怖かった

いつか終わりが来ることだけは

しっかりとわかってた

 

行き過ぎた好きという感情は

どんどん醜いものになってった

 

その前もその後も何人か恋をして終わって

繰り返してきたけれど

恋をするためだけに生きていたのは

この時だけだったと思う

 

 

自分を見失うほど

ただただ好きだけで

嬉しくて泣いて

苦しくて泣いて

眠る間も惜しんで

 

離れたあとに

彼の部屋のお香の匂いが

雑貨屋さんで香ったときに

ぽろぽろと流れてくるものさえも

愛おしくなって

 

狂ったように好きだった

 

 

そんな恋をしたことがある人は

是非読んでみてください

 

息するの忘れるくらいに

読めてしまえる本

 

また思い出したように読み始めて

同じ気持ちを繰り返すんだろな

 

また激情は引き出しの奥底へ。

 

忘れられない記憶を見事にえぐり返し

また明日から普通の日常に戻る